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学会概要

会長ご挨拶

片岡 邦好

社会言語科学会は2018年で創設20周年を迎えました。学会の来し方を思いつつ、本学会を築き上げてきた先達のご苦労を肝に銘じ、このたび会長を拝命いたしました。私のJASS初参加は決して早くはありませんが(2000年開催の「東京都立大学(当時)」)、その後、大会、企画、事業、学会誌編集、発表賞などの委員会を渡り歩き、2010年には大会開催校の委員長なども務めました。気が付けば古参の部類となり、若手の活躍をまぶしく感じるようになりました。

この若さこそが本会の強みと断言して間違いないでしょう。言語系の学会としても「若手」の部類かもしれませんが、若いが故の柔軟さと無鉄砲さ、垣根を超えた交流の新鮮さが、若手研究者/教育者のみならず老練の会員にも浸透しているのは稀有なことだと感じています。特に近年の学会発表では、留学生や海外からの発表者も目立つようになりました。建設的で、寛容さに富む意見交換こそが新たな視点に気づかせてくれる契機です。そのような風通しの良い環境を維持することが私の任務だと考えています。

近年巷では、大学解体・再編に向けた圧力に加え、文系不要論や予算の集中配分などのあおりを受けて、研究することの意義が問い直される時代となっています。アカデミック・ポピュリズム(という言葉があるとすれば)が学問にも影を落とし始めているのは憂うばかりですが、やはり外に向かってことばの社会的意義と重要性を発信する必要性は痛感しています。それが後進の獲得と育成にもつながり、関連分野が発展していく土壌を作っていくからです。

ホッファーは「社会的な停滞は答えの欠如からではなく質問をする衝動がないことから生じる。」と言ったそうです。社会がことばによって廻っていることを思えば、ことばの意味や働きを問い続けることは善き未来を導く鍵となります。JASSがその土壌となることを願ってやみません。

2019年4月