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学会概要

設立趣旨

われわれは討議を重ね、社会言語科学会を創設することになりました。 本学会は言語・コミュニケーションを人間・文化・社会との関わりにおいて取り上げそこに存在する 課題の解明を目指します。既成の学問領域を立脚点としつつ、その枠を越えて、関連領域の 研究者との交流を通じ、その刺激と緊張を原動力として前進していきたいと考えています。 特に、若い方々の入会も期待します。また、同志の人々の意欲によって、活気のある学会に していきたいと思っています。

なお、この学会の発足と同時に「社会言語学研究会」は発展的に解消します。

初代会長ご挨拶

初代会長 徳川宗賢
初代会長 徳川宗賢

ここにわれわれは皆様の御賛同を得て,新しい学会としての「社会言語科学会」を創設することになりました。21世紀を間近にして,人類社会は 今後どのように展開していくのでしょうか。情勢はまことに流動的であります。思えばわれわれ人類は,家族,地域社会,あるいは各種の社会集団, また国家,国家連合,そして地球を舞台として,おのおの個別の条件を背負いつつ,成長し,人と出会い,別れ,病み,また老いていくのです。そして われわれは,その人類社会を形成するファクターとして,人間相互のコミュニケーション,あるいは言語の機能を特に重視します。 このことは,われわれが,言語またコミュニケーションを,人間・社会・文化との関わりにおいてとりあげ,そこに存在す問題の解明をめざすといって もいいでしょう。われわれは現代社会に内在する諸問題に,幅広く注目していきたいと思うのです。こうした観点からの研究が,いままでなかったわ けではありません。しかし先輩たちが築いてきた学問領域のみでは,かならずしも対応しきれないと感じられるのです。学問間の連携を進め,新しい 出発が必要だと思われます。ここに「社会言語科学会」を創設する根拠があります。そして,そうあるべきだとする気運が,現在高まりつつあると認識し ているのです。

各研究者はこの学会のもとに集い,伝統的な学問領域を出発点として自由に研究を展開しつつ,ある時は既成の学問領域から解放されて,関連領域との 交流を盛んにし,その刺激と緊張とを研究発展の契機としていきたいと考えるのです。幸いにこの学会はすでに会員数300名を超え,この第1回の創設大会 は,多くの人たちの力によって予想以上に内容豊かなものとなることができました。学会誌刊行の計画も着々と進行しております。嬉しい限りであります。 そしてこの勢いを今後とも助長していきたいと考えます。

いわゆる学際的研究は,従来既成の学問領域の周辺部分として位置づけられることがありました。他方,学問研究には,いわば余計な部分を切り捨てて, 独自の整然とした体系の確立をめざす方向があります。これは,適切な比喩ではないかもしれませんが,単一民族国家の建設になぞらえることができそうです。 これに対してわれわれは,あえて多くの学問領域にわたる,単なる学際研究ではない,トランスディシプリナリーなユニークな学問の多民族国家,学問の共和国 の建設をめざしていると言えるでしょう。したがって,学会の運営も,各学問領域の自立性を尊重しつつ,一方,共和国の利点を追求する方向に持って行くべき だと考えております。

そうはいっても,学会の前途はかならずしも安泰ではないと想像しております。学会の外側には,既成の学問領域がそれぞれ厳然として存在し,またそこに 安住しようとする人も,実は結構多いのです。また研究に対する基本的なスタンスについても,それぞれ別々に発展してきた学問領域ごとにかなり違っている ようです。共和国における分裂の危機は,はじめから内包されているといっていいでしょう。しかしわれわれは,コミュニケーションないしは言語を鍵と見定 めて,異質なものとの共生の可能性を確信し,工夫と努力を積み重ねることによって,困難を克服していこうと考えております。そして会員のみなさんのお力に よって,それが可能であると考えているのです。

さらに言えば,この学会では特に若い研究者の活躍に期待するところが大きいと考えています。若いとは必ずしも年齢のことを言っているわけではありません。 頭のこりかたまっていない,柔軟な,将来の発展が期待できる人といいかえていいでしょう。そしてその若々しい人たちがこの学会を跳躍台として巣立っていく ようになれば,この学会の将来は,光に満ちたものになるに違いありません。そのこともあって,この学会の運営については,各会員の自由な発想が基盤になるよう, 考えていきたいと思っております。多くの同志の積極的な参加が期待される所以です。われわれの前途には,広大な未踏の世界が拡がっていると考えます。そして新しい学問の地平を拓きたいものと願っております。 どうぞよろしくお願い申し上げます。

なおこの「社会言語科学会」の発足に伴って,1994年に発足した社会言語学研究会は,発展的に解消することになります。また1987年に発足した日本言語学会 に付随して開催されてきた社会言語学ワークショップは,すでに1997年6月をもって幕を閉じていることを申し添えます。ありがとうございました。

1998年1月24日

発起人

井出 祥子 日本女子大学 (社会言語学)
井上 史雄 東京外国語大学 (社会言語学)
岡 隆 東京大学 (社会心理学)
荻野 綱男 都立大学 (言語行動論)
尾崎 喜光 国立国語研究所 (対人関係言語論)
真田 信治 大阪大学 (社会言語学)
杉戸 清樹 国立国語研究所 (言語行動論)
徳川 宗賢 学習院大学 (日本語学)
永瀬 治郎 専修大学 (社会言語学)
橋元 良明 東京大学 (コミュニケーション論)
日比谷 潤子 慶応義塾大学 (社会言語学)
本名 信行 青山学院大学 (国際コミュニケーション)
マーハ、ジョン 国際基督教大学 (社会言語学)